反強磁性結合した積層型磁性細線における磁壁構造の電流駆動を用いた探査

摘要

近年、強磁性細線上に作製した磁区の電流駆動現象が新たな磁気メモリに応用できるとして注目を集めている。非磁性金属と積層された垂直磁化強磁性細線では、積層界面のDzyaloshinskii-Moriya相互作用(DMI)によりネール磁壁が安定し、そのカイラリティはDMIの符号に依存することが知られている。また、二つの強磁性層が非磁性中間層を介して強い反強磁性結合をした磁性細線では磁壁が従来の二倍以上の速度で電流駆動されるという結果が報告されている。そこで、本研究では中間層の種類を変えたときの反強磁性結合膜磁性細線の磁壁構造の違いの探査を目的とした。