イオントラックに沿ったヒドロキシル基密度によるPADC 飛跡検出器の応答特性

摘要

極めて高い感度と優れた電荷分解能を持つエッチング型飛跡検出器として知られている、ポリアリルジグリコールカーボネート（PADC）についての研究が取り組まれている。現在、イオン照射を行なったPADC 中にはヒドロキシル基が増加していることがわかっており、照射によって切断された分子鎖の新たな端点としてヒドロキシル基が生成されていると考えられている。図１に示す通りヒドロキシル基の生成量はエーテル基の損傷密度と相関関係が見られることが分かっている。エーテル基が一つ失われると一つないし二つのヒドロキシル基が生成していると考えられている。ヒドロキシル基の定量分析のためにはそのモル吸光係数を別途評価することが必要であり、この分析においてはPADC に吸蔵させた水のモル吸光係数を用いておりその値は9.7×10~3 M~(-1)cm~(-1) である [1]。この研究では水の質量はカール・フィッシャー電量適定法を用いて評価されている。