Si-APD二光子吸収応答を利用した多点FBGセンシングにおけるアンダーサンプリングの検討

摘要

近年、建設から50年以上経過する橋梁、トンネル、ビル等の様々な構造物の老朽化が問題視されており、メンテナンスや監視の重要性が増している。その要求に応える構造ヘルスモニタリング技術のひとつに、光ファイバ回折格子(FBG: fiber Bragg grating)を用いたセンシングがある。FBGは歪みや温度変化により反射波長が変化するため、広帯域光源や波長掃引光源を使えば、簡単に歪みや温度を測定できる。FBGセンシングでは、一般に反射波長の異なるFBGを複数使うことで、各FBGを識別する。一方、設置位置によって FBG を識別できれば、中心波長の等しい FBG を同時に使用でき、設置密度を高めることができる。また、隣り合うFBG間のファイバに加わった歪みや温度変化についても、各 FBG の位置変化からその平均値を測定できる。我々はこれまで、Si-APD 二光子吸収応答を利用したFBGセンシング、および光ファイバ長手方向に多点配置したFBGまでの距離とFBGのスペクトルの一括同時測定[2]を提案している。この測定では、プローブ光と参照光について、波長の掃引と強度変調周波数の離散的掃引を行う。測定分解能は強度変調周波数の掃引範囲が広いほど高く、測定レンジは掃引ステップが小さいほど広い。そのため、光ファイバの長手方向にFBGを多点配置する多点形 FBG センサでは、遠方の FBG の位置で周波数掃引ステップが決まる。その結果、光源により近い側にあるFBGまでの距離測定にとっては過剰なデータをとっており測定時間の拡大につながっていた。そこで今回の研究では、測定時間の短縮化できるようアンダーサンプリングによる取得データ数の削減を検討した。