ワイヤで吊り下げる外壁打診機械の振り子運動の検討:定のふり幅を維持しながらワイヤの長さを変える方法

摘要

近年の日本では，老朽化した建築物の外壁から壁の一部が剥離して落下する事故が相次いで発生し，重大な問題となっている．この問題に対して，2008 年に建築基準法第12 条が改正され，定期報告制度の見直しが行われた．特に，劇場，映画館，病院，ホテル，共同住宅，学校，百貨店等の外壁については，竣工または外壁改修等から10 年を経てから最初の調査の際に全面打診等により調査することが義務化された．このことを受けて，建築物の外壁診断を効率的に行うための技術開発が急務となっている．従来の外壁打診作業は，熟練した作業員が，建築物の上方からワイヤで吊り下げられたゴンドラやスカイチェア，あるいは地上に配置した高所作業車の作業床に搭乗することで実施されている．そのため，危険な環境での壁面検査に，約100 [m~2] あたり1 時間以上の作業時間を要することもあり，作業員の負担は肉体的にも精神的にも大きい．