突起を有した階段型のラビリンスシールの性能評価

摘要

一般的に回転体の漏れ低減装置には，基本的な構造の直通形ラビリンスシールが広く実機に用いられているが，吹き抜けによって，漏れ量が増加する傾向にある．軸封性能を向上させる手法としては，シールと軸の隙間を小さくすることが最も有効である．一方でターボ機械では軸受にすべり軸受を採用しているため，軸の偏心も考慮したシールと軸が接触しない一定量の隙間の確保が必要となっている．そこで，軸が階段形状となっているステップシールや，軸とフィンが流れに対して食違い構造となった食違いシールなど，吹き抜けを防止する形状とし，より漏れの低減効果の高いシールが使用される．その他にも，軸封性能を向上させる様々な形状のシール形状の開発が行われている．一般的なシール形状の一つであるステップシールには，図1 に示すような流体が段差を吹き降ろす形状となる下降形ステップシールと階段を吹き上げる上昇形ステップシールがあり，階段構造により吹き抜けを防止することで一般的な直通形シールよりも漏れ性能を向上させている．