メタマテリアルの原理の固体波への適用に関する基礎的研究

摘要

近年，負の屈折率によりクローキング（透明マント）や完全レンズなどを実現できるとして，メタマテリアルという概念が注目されてきている．原理の提唱自体は古く，1968 年にVeselago によって透磁率と誘電率を同時に負にすると負の屈折率が実現されると発表されている．1990 年代後半に入り，Pendry らによって，負の透磁率，負の誘電率(4)の実装方法が提案され，2000 年代前半にSmith らによって実証実験が行われると共にメタマテリアル（metamaterial）という言葉が導入された．これまでの研究の多くは光を含めた電磁波に関してである．最近になって，電磁波におけるメタマテリアルとは若干異なるが，流体を伝播する波に関する研究も行われてきている．しかし，固体波に関する研究については著者の知る限りにおいてはほとんど行われていない．