話速とポーズ長の組合せがロングパスエコー環境下の単語了解度に及ぼす影響

摘要

我々は，ロングパスエコー環境下において頑健な音声伝達を可能とする手段として，ポーズの挿入や話速変換の効果について検討してきている．先行研究では，最適な話速およびポーズ長の組合せが存在すると考え，話速とポーズ長，および先行音に対する後続音の遅延時間をパラメータとして単語了解度試験を行った．その結果，話速における1 モーラ長に対するポーズ長の比（pause-to-speech-rate ratio：PSR）という概念を提案し，PSR が整数である場合により高い音声了解度が得られる可能性を示した．PSR が整数の場合は，モーラ長分の空隙が生成されるため確実に1 モーラは明瞭に聞き取れ，単語全体の類推を促したと考えられる．