生体組織中における円偏光の散乱経路及び偏光状態のシミュレーション

摘要

生体組織に円偏光を照射し、その散乱光の偏光状態を解析することによって、前がん病変などの診断が可能になると期待されている[1]。現に健常組織とがん組織とでは散乱光の偏光状態に大きな違いが見られるとの報告例がある[2]。この研究結果にもとづき、我々は円偏光を放射・検出が可能なSpin-LED[3]とspin-PD[4]を用いることで生体内でのその場観察が可能かつ非侵襲、非染色な新たながん診断技術を提案する。本研究では生体組織中での円偏光の散乱経路と偏光状態について偏光散乱に特化したモンテカルロ法[5]を用いたシミュレーション結果を報告する。