ホウ素クラスター化合物の生細胞への取り込みの誘導ラマンイメージング

摘要

がh選択的な放射線治療法として，中性子捕捉療法(boron neutron capture therapy, BNCT)が注目されている．BNCTではホウ素同位体(10B)を含む薬剤を腫瘍細胞に取り込ませ，熱中性子線を照射することで核反応を誘起し，発生する粒子線（アルファ線および 7Li粒子）によってホウ素薬剤近傍のみの腫瘍細胞を死滅させる． BNCTのためのホウ素薬剤として，これまでホウ 素 ク ラ ス タ ー 化 合 物 (disodium mercaptoundecahydrododecaborate, BSH) な ど様々な薬剤が臨床研究に用いられてきた．これらのホウ素薬剤を腫瘍細胞に蓄積させつつ，正常細胞への蓄積を抑制することが重要である．しかし，細胞内でのホウ素薬剤の分布には不明な点が残されており，その可視化手法の開発が望まれる．