リング光共振器を用いた高次ポアンカレビーム生成手法の提案

摘要

スピン(s) と軌道(l) 双方の角運動量を持つ光の状態を視覚化・議論する手法として，従来のポアンカレ球を拡張した高次ポアンカレ(HOP) 球が提案されている．HOP 球上の点は∣s; l⟩ = ∣±1; ∓l_0⟩の二つの角運動量状態の重ね合わせ状態を表しており，そのような角運動量状態を持つ光をHOPビームと呼ぶ．HOPビームはバルク光学系による生成手法が提案されおり，モード多重化通信等の応用が期待される．一方，オンチップ光素子を用いてHOP ビームを生成できればより広範な応用の可能性が拓かれると考えられる．前回我々は、微小リング共振器上のカイラル点(C-point)の並び(図1(a)) に沿って周期の異なる２種類の回折格子を設けると，その遠方界が異なるl を持つs = ±1 の光の重ね合わせ(フルポアンカレビーム) となることを示した．その知見を基に，今回我々は，ある∓l_0 に対してs = ±1 の放射光に強度差と位相差を付けて重ね合わせることで狙ったHOP ビームを生成する手法を提案する．