GCOM-C/SGLIによる沿岸環境モニタリングの可能性について

摘要

島国である我が国にとって沿岸域は，海上輸送や豊富 な水産資源を育む場として，多様な恩恵を得られる非常 に重要な国土空間の1つである.また，その環境は，様々 な生物の生息場をはじめとして，複雑で多種多様な環境 機能を有しており，海の恩恵を継続的に享受していくに は，その環境管理'保全が必要不可欠である.しかしな がら，水環境の管理.保全の現状として，過剰な水質規 制の結果，貧栄養化し，漁獲量の著しい低下が問題とな る水域が出現する一方で，富栄養化水域では，水質は徐々 に改善されているものの，未だ赤潮や貧酸素·無酸素化， 青潮の問題を抱える水域が点在している.このような沿 岸域においては，定期的な水環境モニタリングにより， 環境の維持·管理を行うことが必要不可欠である.一方,rn今年度JAXAによって打ち上げ予定であるGCOM-C/ SGLIは，250m×250mの空間分解能であり，陸域と海洋 の境界である沿岸域のような複雑な地形を有する水域を 対象とした環境モニタリングへの活用が期待されている. これが有効であれば，沿岸域の基礎生産量を把握し，全 球における炭素循環への寄与を明らかにするだけでなく， 沿岸環境の維持·管理を目的とした，継続的な環境モニ タリングに貢献できる可能性がある.