B-3　土砂の鉱物学的特性による宮崎県一ツ瀬川河口·海岸の土砂堆積過程の検討

摘要

流砂系の一貫した土砂管理を進めるためには，土砂の量と質を高い精度で解析し，土砂動態を把握することが必要である。本研究では，宮崎県一ツ瀬川の河口を対象とし，周辺の河川·海岸土砂との鉱物学的特性の類似性による河口の土砂堆積状況を調査した。河口の右岸左岸の海岸は16 cm間隔で6層，河川は河口近傍，海岸は満潮汀線の表層土砂を採取した。これらの土砂についてX線回折分析を行い，鉱物組成とピーク強度比を測定し，それらの類似性から鉱物学的特性を比較した。一ツ瀬川河口の土砂は，河口から左岸方向2.5 kmにわたり，一ツ瀬川に極めて類似した鉱物学的特性を示した。一方，河口から右岸方向3.0 kmにわたり，2層までは，左岸および一ツ瀬川に対して類似性の低い土砂が分布していた。しかし，右岸の3層から6層は，左岸および一ツ瀬川と類似する鉱物学的特性を示した。一ツ瀬川の河口·海岸における堆積過程は，両岸や各層で異なることが示唆された。