超音速加速時のフォーカスブームにおける飛行経路の影響

摘要

本稿は，フォーカスブームにおける低ブーム波形の効果，そしてそれらに対する加速度の効果を評価することを目的として，フォーカスブーム解析ツール，FFnoiseにより数値的にフォーカスブームを予測し，パラメトリックに上記の効果を調査した．計算対象としては，JAXA が想定する小型超音速ビジネスジェットを用いた．解析結果を見ると，低ブーム波形はフォーカスブームの低減においても最大ピーク圧の上昇などにおいて良い結果となることが分かった．また加速度が大きくなるとN型波形とFlattop波形の場合はほとんど変化せず，Ramp波形はフォーカスブームの最大ピーク圧も大きくなることが分かった．このようなことから超音速飛行時の加速度に関する感度が低いので，加速時の飛行経路に関する制約は小さくなるものと考えられる．また騒音評価メトリック値同士の比較を行ったところ，最大ピーク圧の値が最も大きな N型波形が最も大きなメトリック値となった．一方で最もメトリック値が低いのは Ramp 波形であった．これは Ramp 波形の特徴である立ち上がり時間が騒音低減に寄与するためである．この結果より，今回の解析条件である，高度13kmの水平加速時に図 4 に示す各波形で解析を行った場合，騒音の低減に最も効果的な波形はRamp波形であることが分かった．