ハイスループットqPCR法による流入下水中ヒト消化器系ウィルスのー斉モニタリング

摘要

流入下水中のヒト消化器系ウイルスの濃度を測定 することは，感染性胃腸炎の発生状況の把握に利用さ れ始めている.ヒト消化器系ウイルスには毎年流行を 繰り返すノロウイルスをはじめ，近年新生児や乳児に おいて敗血症ゃ髄膜脳炎などの重篤な感染症を引き起 こすことで注目されているヒトパレコウイルスなどが 存在し，複数のウイルスを測定対象とする必要がある. ウイルスの検出には一般的に定量PCR法が用いられて いるが，ウイルス別に測定する必要があり，複数のウ イルスを測定するには時間を要する.そこで本研究で は，Ishiiらが開発した11種類のヒト消化器系ウイル スを一斉に定量検出できるハイスループットqPCR (HTqPCR)法にヒトパレコウイルスを検出対象に追加 し，さらにE型肝炎ウイルスのプライマーおよびプロ ーブを選定し直して，流入下水中のヒト消化器系ウイ ルスの一斉モニタリングを3年間に渡り実施した.