下水マーカーによる熊本地震後の地下水汚染の実態評価

摘要

人口約70万人の熊本巿は、飲用水の全てを地下水 に依存している。ところが、2016年4月に発生した 熊本地震の影響で熊本巿とその周辺に埋設された下 水管が破壊され、下水や生活排水が地下水に混入し た可能性がある。発表者らは、地震前の2012〜2014 年に熊本市内周辺の50ケ所以上から地下水を採取 し、下水マーカーの水溶性難分解化学物質を測定し て下水管の破損状況を推定した。その結果、漏水等 により熊本市の年間総下水量の約3%が地下水へ流入 した可能性が示された。そこで本研究は、再度熊本市 内の地下水を採取して水溶性難分解化学物質の人工 甘味料とヨード系X線造影剤を分析し、地震前後の濃 度値を比較解析して、下水管の破損規模や急な対策 を要する地点を早期かつピンポイントで把握するこ とを目的とした。