汽水域において溶菌する微生物群集と水環境への影響

摘要

本研究より、汽水域の細菌は上げ潮もしくは下げ潮時の塩濃 度変化により溶菌する可能性が高いことが示された。溶菌の際に 放出される溶解性の窒素やリンは周辺に存在する微生物の栄養源になると考えられる。特にAlphaproteobacteria綱、 Betaproteobacteria綱、Gammaproteobacteria綱は汽水域に生息する細菌の約半数を占めるため、これらの系統の細菌の溶菌 により放出される溶解性窒素とリンの量は汽水域の生態系に影 響を及ぼすと考えられた。