昆虫嗅覚受容体による水中のカビ臭簡易計測法開発へ向けた取り組み

摘要

水道の異臭味被害人口は年間200万人を超レそ の約半数はカビ臭·土臭による。水源ダム湖や浄水場 でカビ臭をリアルタイムに監視し、選択取水や処理強化 などに迅速に反映することが期待される。高感度な匂い検出能力をもつ昆虫の嗅覚受容機構 を分子レベルで理解し、バイオセンサとして利用する試 みがある。神崎らは、キイ口ショウジョウバエ嗅覚受 容体Or56aをヨトウガ卵巢由来Sf21細胞に導入し、 ジェオスミンに特異的に応答するOr56a発現Sf21 細胞系統を作出した。本稿では、細胞系統の高感 度化、均質化、安定化等によりバイオセンサを開発 し、水道水質管理に活用しようとする試みの進捗を 紹介する。