内面に螺旋溝を有する管の押出し加工の研究

摘要

押出し加工は従来から一様な断面形状を有する長尺材を大量に生産するための技術として用いられてきた．押出し材の中で特に軽量かつ熱伝導率の高い材質は，自動車用ラジエータのヒートパイプなどの熱交換器によく用いられる．熱効率向上には，物体の表面積を大きくすることが有効であるため，切削などの2次加工などによって内面の表面積が大きい長尺材を成形することが試みられている．しかし，最近では軽量化や2次加工の削減のために任意の断面形状を有する押出し材を押出し加工のみで成形する可変断面押出し加工法が考案されている．特に現在使用されている内面螺旋溝付き管は，内面が平滑な円管を転造法で溝をつけているため，高価格で生産性も良いとは言えない．そこで，内面螺旋溝付き管を押出し加工のみで成形可能になればコストダウンが期待できる．本研究ではマンドレルに螺旋状の溝を配置し，その状態で押出しを実施することによって，加工中の材料流動に変化を与え，内面にスパイラルの突起を持つ円管を成形する内面螺旋溝付管押出し加工法を提案する．加工条件が成形品の外径，螺旋突起の角度などに与える影響について調査した．研究結果として螺旋状の溝を有するマンドレルを用いてダイスとマンドレルの位置関係を適正に保つことにより，押出し加工1工程で内面螺旋歯付管を成形可能であることを明らかにした．マンドレル高さとマンドレル溝数が内面螺旋歯付管成形品に及ぼす影響を調べた結果，以下の結論を得た．マンドレル高さが高くなるにしたがって成形品のねじれ角が大きくなる．マンドレル溝数が多くなるにつれ，成形品のねじれ角の増加が顕著である．マンドレル高さが大きくなるにしたがって成形品外径は大きくなる．マンドレル高さに関係なく螺旋溝高さ，螺旋溝幅などの螺旋歯形状は設定したマンドレル溝幅，マンドレル溝高さの値に近くなった．