血液疾患領域におけるアフェレシス:血液疾患に対するアフェレシス

摘要

アフェレシスは,血液をさまざまな成分に分離 しその一部を採取し他者や自己の治療に利用し たり,有害な部分を除去し代替成分や有用成分 と置換したり,場合によっては有用な成分を大量 に輸注するためのスペースを確保するために行わ れる.血液疾患領域とアフェレシスの関係は非 常に深く,最も初期の治療的アフェレシスの報告 は,原発性マクログロブリン血症による過粘稠症 候群に対してであり,最初に前向き研究でエビ デンスをもって血漿交換療法の有効性が示された のは,TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)に対し てであった.血液を対象としたアフェレシスは ヘムアフェレシスと呼ばれるが,そもそも遠心式 血液成分分離装置が用いられた治療であり,血 液内科医にとって受け入れられやすい治療であっ たが,わが国では,繊維メーカーの技術力と透析 領域の医師の情熱で，治療的ヘムアフェレシスの 大半が膜や不織布を用いて行われるようになっ ており,日常的にかかわるというよりはやや疎遠 な状況となっている.近年造血幹細胞移植を中 心とした細胞療法が盛んに行われるようになり,さらに他稿で触れられるキメラ抗原受容体T細 胞療法(CAR-T細胞療法)の日常臨床への導入が あり,またようやく体外フォトフェレーシス治療 (extracorporeal photopheresis ； ECP)3)が,同種 造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(graft versus host disease ； GVHD)に保険適用となつ て,ふたたび血液内科医のかかわる領域が広がり つっある.