入院化学療法中の肺癌患者における認知機能障害に対する調査

摘要

診断技術や治療法の進歩に伴い「がんサバイバ一」が増加傾向にある。がんサバイバーは,がん治療中や治療後に様々な副作用を経験する。その副作用の一つとして認知機能障害が最近注目されている。がん治療には手術,化学療法,放射線療法などがあるが,なかでも化学 療法中?後にかけて記憶力の低下や注意機能の低下などの高次脳機能障害（ケモブレイン）が出現することが報 告さている。ケモブレインは細胞傷害性抗癌薬だけでなく分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬でも起こるとされており,その発生頻度は17?75と報告されている認知機能障害に関するがん患者の報告は海外での報告が多数を占めるものの,国内での報告は散見される程度である。本報告は,化学療法実施患者の認知機能障害の程度と内容の調査および認知機能に影響を与える因子を検討した。