がん緩和ケア精神的ケア

摘要

がん患者を対象とした有病率調査では，約半数の患者に何らかの精神医学的診断が認められ，病期にかかわらず頻度の高いものは，適応障害，うつ病，せん妄であり，身体状態の悪化する終末期になるに従いせん妄の相対的な割合が増加することが示されている（図1).これらがん患者にみられる精神症状は，患者自身に苦痛をもたらす頻度が高い症状であるのみならず，QOLの全般的低下，抗がん治療に対するアドヒアランスの低下，家族の精神的負担の増大など，多岐にわたる問題に影響を与えうることが明らかにされている.した力つて，プライマリケア医や一般内科医がまず理解すべき病態も前述した3疾患である.