内分泌疾患の診断におけるホルモン測定

摘要

免疫学的測定法によるホルモン測定のもつ特性を理解する.同時に複数のホルモン測定を行った際，測定項目数により請求上限点数が定められているため想定される内分泌疾患に関連する必要最小限のホルモン測定を行う.ホルモンを測定する際には，採血の状況や服薬の有無など，採血条件を念頭に置いて結果を解釈する.内分泌疾患の診療においてホルモン測定は必須である.昨今，厚生労働省研究班や日本内分泌学会などで各種内分泌疾患に関する診断基準およびガイドラインが整備されつつある.本稿ではこれらを活用するうえで，ホルモン測定をォ一ダ一する際や測定結果を適切に解釈するための注意点および類似した検査の異同について述べる.ホルモン測定に関する基礎知識：血中に存在するホルモンの濃度は，プールにスプーン一杯の砂糖を溶かしたくらいであると例えられる.このような微量の物質量を測定可能にしたのは1960年Bersonらによる免疫学的測定法の一種であるradio immunoassay(RIA)の開発によるものである.