小児の睡眠呼吸障害への対応扁桃，アデノィド肥大および肥満の関与の観点から

摘要

小児のいびきを軽視してはならない.臨床的に重症と判断した場合には経験豊富な施設の耳鼻科医を紹介したい. 普段から耳鼻科医との緊密な連携をとりたい.小児の睡眠呼吸障害，なかでも閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する扁桃，アデノイド肥大および肥満の関与について対応を中心に概説する.閉害性睡眠時無呼吸症候群の主因は上気道閉塞である.その要因には，壁を構成する軟部組織の腫脹，上気道周囲への脂肪沈着，小顎，上気道周囲筋の緊張低下，気道内陰圧がある.は扁桃とアデノイドの肥大の頻度が高いが，感染，アレルギーも関与する.は肥満で生ずるが，小児の場合，必ずしも肥満を呈さない患児も多い.は種々の顎顔面の形態異常でも生ずる.は主としてREM睡眠中に生じ，には筋力もかかわる.狭窄した上気道に狭小ィ匕前と同様の換気を確保しょうとすれば， 気流の速度が増し，周囲の軟組織が振動し，いびきが生ずる.吸気力がさらに高まれば，気道内の陰圧が高まり，気道壁の緊張がこの陰圧に耐えられなくなると上気道は虚脱し，閉塞する.