健側第7頚神経根移行術による腕神経叢損傷の機能再建術

摘要

腕神経叢損傷とは，肩を含めた上肢の筋肉を支配する第5茸神経横から第1胸神経積までの5本の神経根が脊髄より引き抜かれたために起こる上肢の麻痺である。 大半がオートバイ事故による若年者に発生し，整形外科領域では最も治療が困菜な疾患の一つである。 健側第7頚神経根移行術は健側の第7預神経根を切離し，神経移植を行い．患側の神経に移行する手術であるが，本邦においては，われわれが報告したのが初めてである。健側の正常な神経根を使用するという画期的なアイデアであるが．最初の報告からすでに20年近く経過しているものの未だに腕神経叢損傷に対する一般的な術式であるとは言えない。 これは，CC7が作動神経として大きな可能性を秘めているにもかかわらず，多くの問題点が未解決なためである。 本稿では，腕神経叢損傷の機能再建術におけるCC7の手術術式と現状について解説する。