性腺刺激ホルモン製剤の自己注射の可能性

摘要

生殖補助医療（ART）に対する調節卵巣刺激法（COS）として，GnRH analogue （GnRHa）によるlong protocol を併用したコナドトロビン刺激法は，すでに最も一般的なCOSとして定着している。 しかしながら，COSにおける7－15日間におよぶゴナドトロピン注射通院はARTを受ける不妊夫婦に対して，肉体的，精神的，経済的苦痛を与えているのも事実である。 近年，リコンビナントFSHl (recFSH）とGnRH antagonistが開発され，わか国てもrecFSH （Follistim~(R)）が日本オルガノン社よりARTのCOSのみに対する適応で市販されている。 Follistim~(R)は皮下注が可能であり，COSの際に，自己注射法が可随であるかを考察した。 各施設における自己注射に関する期待度は，自己注射を必要と考える施設は，145施設（59．7％），であり，自己注射を是認する理由としては患者の通院が楽になる（51．4％），患者負担が軽減される（23．6％）や患者の利便性が高くなる（11．5％）など，患者の肉体的，社会的負担の軽減を挙げる施設が多く見られた。 経済的にも，自己注射法を促進することで，通院費，再診料，注射技術料などが節約でき，さらに患者の負担も軽減されるであろう。 自己注射法を実施する際には，卵巣過剰刺激症候群（OHSS）のような副作用を患者さんに十分説明して，インフォームドコンセントが得られるかどうかか，自己注射COS実施に対する重要な部分を占める。