真菌症の血清診断

摘要

血液悪性疾患や造血幹細胞移植（Hematopoietic Stem Cell Transplant: HSCT)において真菌症対策は 重要な課題である.菌種ではァスペルギルスとカンジダ が2大起因菌で，病型として前者は侵襲性肺ァスペルギ ルス症（IPA)が，後者では侵襲性カンジダ症(IC).特 にカンジダ血症が重要である.いずれも死亡率が高く. カンジダ血症は30?40%程度，IPAに至っては50?9096 の報告がある''2).真菌症は特徴的な臨床症状や検査所 見に乏しいため，確定診断には感染巣からの真菌の培養 や病理組織による菌学的診断が必須である.しかし血液 疾患患者では合併する血ノ」V板減少や全身状態の重篤さか ら，血液培養以外の侵襲的検査を実施することは困難で あった.には近年，一般内科や外科?救急領域でも増加 しており，血流感染症の起因菌の第4位に位置するが， 血液培養の陽性率は必ずしも高くない.c:;—ねらを背景に 多くの血清診断や遺伝子検査が研究され，臨床応用が試 みられた.