鞭虫症の1例

摘要

現病歴：大腸がん検診での便潜血陽性の精査目的で大腸内視鏡検査を施行.その際，上行結腸に寄生虫を発見した.寄生虫は粘膜上に根を張っているように見えた.虫体は白色で内部構造は透見できず，無数のひだを有していた.把持鉗子にてできる限り愛護的に把持し摘出した（Figure1-a ?c).そのほかの部位には明らかな虫体を認めず， 自覚症状もないため，駆虫剤の処方およびその後の便検査等の経過観察は近医で行うことにして帰宅した.当院病理科より香川大学医学国際医動物学講座に依頼し，透徹標本の顕鏡，計測を行つたところ，ヒト鞭虫の雄成虫と判明した（Figure 2).虫体の計測値は全長32.1mm (食道部20.6 mm+体部11.5mm),最大体幅667(mu)m，交接刺長270(mu)m,交接刺鞘48.0X15.9(mu)m(Figure 3-a, b) であった.