自己潤滑性のある成形物「CiBs（キッブス）」の開発

摘要

当社は大阪市大正区で1964年に山下製作所として創業し、1985年に現在の福井精機工業㈱を設立した。創業時から射出成形用の金型を製作しており、40年ほど前に製作を開始したベアリングの樹脂保持器（リテーナ）用の金型を多数開発してきたことから、今では「丸いモノ」が得意な金型メーカーとなった（図1）。当社の製作する金型の90以上は開発段階からの参画である。「福井精機に任せたら大丈夫」と言ってもらえるように、金型製作の前段階である流動解析から製作後の成形トライ、検査·測定、小ロット量産まで対応している。また、現在のような新型コロナウイルス感染症の拡大下でもリモート立会いなどを行い、FUKUiの「価値」を届けている。さらに新しい「価値」を生み出すため、数年前から自動的に潤滑油が染み出す部品「CiBs（キッブス）」（図2）の開発を始めた。本稿ではCiBs開発の背景や製品としての特徴を紹介する。