重度難聴用デジタル補聴器（Naida)における周波数圧縮変換機能の効果

摘要

重度難聴用デジタル補聴器の一つであるNaida (Phonak社）は、高利得'ハウリング抑制 機能?騒音抑制機能の他、種類により高周波数帯域の利得増幅機能も有するが、大きな特徴 は周波数帯域圧縮機能が搭載されていることである。この機能は、高周波数帯域を低音領域 へ圧縮変換することにより、残存聴力を活用し語音聴取を改善させることを目的としてい る。筆者は2009年の本学会で、少数例ながらNaidaが自立支援法対応重度用デジタル補聴 器と比べ、母音と子音の一部(/s/, /t/)の聴取能が改善することを報告し、周波数帯域圧縮 機能が影響していると考察した。しかし周波数帯域圧縮機能の語音明瞭度における効果につ き詳細に分析した報告はない。今回我々は、Naidaの補聴効果について、自立支援法重度用 補聴器と統計学的に比較検討を行った。さらに周波数帯域圧縮機能の補聴効果への影響について検討した。