術前より呼吸困難を呈した巨大卵巣腫瘍の術後にNasal high flowを用いた呼吸管理を行った1症例

摘要

巨大腹腔内腫瘤を有する患者の周術期管理では,肺圧迫解除後の再膨張性肺水腫や下大静脈の圧迫解除による静脈還流の急激な上昇による肺水腫に注意が必要である。また,腫瘤の増大による長期的な呼吸筋の圧排はその菲薄化を招き，術後呼吸管理をさらに困難なものとする可能性もある。今回われわれは，約30kgの巨大卵巣腫瘍のために術前より呼吸困難を呈した症例に緊急で腫瘍摘出手術を行ったが術後高二酸化炭素血症や喀痰排泄困難となり，Nasal high flowと非侵襲的陽圧換気による呼吸管理と輪状甲状膜穿刺キットによる排痰コントロールを行い良好な経過をたどった症例を経験したので報告する。