左視床と失語

摘要

優位側視床を含む病巣により超皮質性失語類似の言語症状を生じること（視床失語）が知 られている。しかし視床に病業があっても失語症状が発現しないことや，短期間で消失す ることもある。また健忘や性格変化が前景となる場合もある。したがって視床失語を独立 した失語型として認めることについてはいまだ議論が多い。視床は脳幹網様体賦活系の中 継核で，注意のネッ卜ワークにも関わり，パペッツの回路?ヤコブレフの回路では記憶の 中継役を担うとされるが，視床病巣が失語の発現にどのような機序で関わるのかは明確化 されていない。本稿では視床失語に関する過去の報告，最近の研究を紹介し，まとめた。