糖尿病性神経因性膀胱: 診断と治療

摘要

厚生労働省の令和1年(2019) r国民健康?栄 養調査」によると,「糖尿病が強く疑われる人」 の割合は,男性19.7%,女性!0.8%で,過去10 年間,男女ともに有意な増減はみられていない. しかし70歳以上で「糖尿病が強く疑われる者」 の割合は,男性26.4%,女性!9.6%となり,年齢 が高い層で割合が高くなるい.糖尿病(diabetes mellitus ； DM)の合併症として,糖尿病性腎症" 糖尿病性網膜症，糖尿病性末梢神経障害が広く 知られている.さらに糖尿病は下部尿路機能に もさまざまな影響を及ぼし,糖尿病に起因する下 部尿路機能障害はdiabetic cystopathy①C)ある いは diabetic bladder dysfunction ① BD)ともい われ,多様な病態を呈し,経時的に進行すること が知られている.なんらかのDBDはDM患者の 80%に認められ,血糖値が安定している患者で あってもDCの発症率は25%にも上るといわれて いる2⑶,患者のQOLに大きな影響を与えるDC は早期から対処が必要な疾患といえる.本稿で は,DCについて最近の知見を含めて解説する.