三叉神経?自律神経性頭痛(TACs)の診断と治療

摘要

三叉神経?自律神経性頭痛(trigeminal autonomic cephalalgias : TACs)は,一側性の頭痛で頭痛同側に一側性の結膜充血,流涙，鼻漏などの顕著な頭部自律神経症状を伴うという共通の特徴がみられる. TACsの頭部自律神経症状は，三叉神経-副交感神経反射の活性化によると考えられており,『国際頭痛分類第3版』(ICHD-3)ではTACsを3.1「群発頭痛」,3.2「発作性片側頭痛」, 3.3「短時間持続性片側神経痛様頭痛発作」,および3.4「持続性片側頭痛」に分類している. TACsはICHD-3に準拠して診断されるが，TACsの特徴を持った頭痛を診断する際には次の規則が適用される.つまり特定のTACの特徴を有する「新規の頭痛が初発」し,頭痛の原因となることが知られているほかの疾患と時期的に一致するか，もしくはその疾患による二次性頭痛の診断基準を満たす場合には二次性頭痛と診断する.また「以前から存在するTAC」が,頭痛の原因となることが知られている他疾患と時期的に一致して慢性化した場合には,もともとあるTACおよびその疾患による二次性頭痛の両方として診断する.同じく，「以前から存在するTAC」が頭痛の原因となることが知られている他疾患と時期的に一致して頻度や重症度が2倍以上に有意に悪化した場合にも，もともとあるTACおよびその疾患による二次性頭痛の両方として診断する.本稿では,群発頭痛,発作性片側頭痛，短時間持続性片側神経痛様頭痛発作，持続性片側頭痛の診断と治療について述べる.