神奈川県科学技術政策30年と「食」との出会い

摘要

日本の科学技術政策は、昭和の時代は国がやるべきものと位置付けられ、1978年の「地方における科学技術活動の推進に関する意見(科学技術会議)」など「地方科学技術振興」がわずかに記載されるに留まってきた。その転換点として、1995年の科学技術基本法において「地域科学技術振興」が明記されたことが挙げられる。「地方」ではなく「地域」と位置付けられたことには大きな政策的議論があり、「地域」とは行政区域を示すのではなく、施策目的にあわせて展開する際の合目的な区域(グローバル+ローカル=グローカル)の意味が込められている。この地域科学技術振興は、国の科学技術基本法の制定に先立ち、神奈川県でその姿を現実にした。神奈川県は、1970年代から「地方の時代」を提唱し、自治体経営戦略の視点も加味した、地方治体として独自性のある科学技術政策を先駆的に展開してきた。