SARS - CoV- 2感染症診断におけるケミルミSARS-CoV-2 Agの臨床的有用性の検討

摘要

新型コロナウィルス（以下,SARS-CoV-2）感染症の診断におけるケミルミSARS-CoV-2 Agの臨床的有用性を検討した。SARS-CoV-2感染症疑いにてReverse Transcription Polymerase Chain Reaction （以下,RT-PCR）検査陽性かつ同時期に抗原定性検査を行った有症状者の鼻咽頭拭い液56検体を用い,ケミルミSARS-CoV-2 AgとRT-PCR検査および抗原定性検査を比較した。その検討結果より,①RT-PCR検査のCt値とケミルミSARS-CoV-2Agのindex値間には有意な相関を認めた（r = 0.758, p<0.01）。②RT-PCR検査との陽性一致率はケミルミSARS-CoV-2Agが92.9%,抗原定性検査が80.4%であった。③Ct値別にみたRT-PCR検査とケミルミSARS-CoV-2 Agおよび抗原定性検査の陽性一致率は,ケミルミSARS-CoV-2AgがCt値30未満で100%, 30以上35未満で89.5%であったのに対し，抗原定性検査はCt値20未満で85.7%, 20以上25未満で90.0%, 25以上30未満で80.0%, 30以上35未満で73.7%であった。④発症からの日数別にみたRT-PCR検査とケミルミSARS-CoV-2 Agおよび抗原定性検査の陽性一致率は,ケミルミSARS-CoV-2Agが発症0日目90.0%,1日目94.4%であったのに対し，抗原定性検査は発症0日目76.7%,発症1日目83.3%であった。これらのことより，ケミルミSARS-CoV-2Agは，定量的評価に加え，発症早期より十分な検出感度を有しており，SARS-CoV-2感染症診断に有用であった。