双眼倒像鏡を用いた従来の網膜復位術

摘要

裂孔原性網膜剝離に対して硝子体手術が行われることが増えてきているが,強膜バックリングが適応となる症例も 多く見受けられる.さらに,强膜バックリングでもシャンデリア照明と広角観察システムを用いた方法が普及してき ているが,それぞれ利点や注意すべき点は異なる.本稿では,それらの術式のなかでもっとも古くから行われている 従来の双眼倒像鏡を用いた強膜バックリングについて注意点やポイントについて述べる.裂孔原性網膜剝離(rhegmatogenous retinal detachment :RRD)は，1918年にGoninらが網膜裂孔が原因 であることを発表して以来，1947年にCustodisらがそ の治療法としてバックリング手術を提唱し，さらに 1965年にシリコーンスポンジによる方法を発表して現 在に至る.多少の術式のアレンジはあるにしてもその頃 から50年以上行われている術式であり，緑内障に対す る線維柱帯切除術や斜視手術と並んで現在も行われてい る歴史の長い手術の一つである.