促通反復療法に基づく片麻痺前腕機能回復訓練装置を用いたリハビリ訓練効果の評価

摘要

脳卒中を発症すると脳に損傷を受けるため片麻痺·感覚障害·言語障害·言語障害など様々な後遺症が残る．その中で片麻痺は最も多く発症する後遺症である．近年，脳科学の進歩によって脳の一部が損傷しても損傷を免れた他の部位が役割を代行する能力（脳の可塑性）があることが明らかになってきた．これより，効果的なリハビリテーションを繰り返し行うことで脳の可塑性を促進し，麻痺肢の運動機能回復が望めると考えられている．可塑性の発現は使用頻度に依存する．麻痺を回復させるためには，麻痺した手足に患者が意図した通りの運動が実現するように介助者(医師·療法士)がうまく操作し，麻痺した上肢·下肢を継続的に動かさなければならない．そのため，介助者には麻痺肢の随意運動を誘発する高い手技が求められる．また，長時間のリハビリを一人の麻痺患者に対して一人の介助者が行うため，介助者の負担は増大する．本研究では，医師·療法士に掛かる負担の軽減を目指し，促通反復療法に基づく片麻痺前腕機能回復訓練方法を実現できる装置と訓練効果の評価方法を開発して、効果の良い訓練手法の確立を目指している．