腹腔鏡下大腸手術における体位と合併症

摘要

腹腔鏡下大腸手術の術中体位に起因した合併症を調査したので報告する.2008年8月から 2015年10月までの7年間で砕石位にて腹腔鏡下大腸切除を行った522例を対象とした.522例中， 神経麻痺を2例（0.4%),褥瘡を4例（0.8%)に認めた.神経麻痺は，頸部の過伸展による右腕神経 叢障害を1例，固定具の圧迫による左橈骨神経麻痺をレ(列に認めた.また，褥瘡はヘッドサポーター の固定具（クッション）に起因する頭部褥瘡，脱毛斑を2例に，背部と臀部の褥瘡を2例に認めた. 腹腔鏡下大腸手術では過度な頭低位や体のずれにより頻度は少ないが神経麻痺，褥瘡が発生する可能 性がある.これらの原因を理解し積極的に合併症予防に努める必要がある.