単孔式内視鏡下ヘルニア修復術(単孔式TAPP)の導入期における工夫-術式の工夫と従来法TAPPとの成績の比較-

摘要

単孔式内視鏡下ヘルニア修復術（経腹法）（以下，S-TAPP群）を施行した14例，20側の初 期導入時における術式の工夫を述べるとともに，2001年から施行した従来法ヘルニア修復術（経腹 法）（以下C-TAPP群）の134例，169側を対象として，初発片側，再発片側，両側，前立腺術後症 例に分け，手術時間を比較検討した.また術式別に術後入院日数，術後合併症，再発率を比較検討し た.結果は全症例，両側症例でS-TAPP群はC-TAPP群より時間延長傾向であった(P < 0.01) 初発片側では短い傾向であった.再発片側，前立腺術後症例も時間延長の傾向がみられた.入院期 間，術後合併症，再発率は両群間に差を認めなかった.S-TAPPの困難症例ではsingle port+1とし て時間短縮を計り，合併症，再発の低率化を保つべきである.本法はいまだ時間がかかるものの，従 来TAPPと同等の合併症，再発率で整容性に優れ，安全確実な術式になりうると考えられた.