非小細胞肺がんに対する周術期治療の現状と展望

摘要

これまで,非小細胞肺がん(Non-Small Cell Lung Cancer : NSCLC)の周術期に多くの補 助化学療法の検討が行われてきた。術後補助 化学療法については,2004年にInternational Adjuvant Lung Cancer Trial (IALT) の結果 が報告されて以来，術後病理病期 II ～ IIIA期 (第8版)完全切除例に対してプラチナベース 併用の化学療法が実臨床に導入されている。病変全体径>2cmの術後病理病期IA/IB/IIA 期(第8版)完全切除,腺癌症例に対してはテ ガフール?ウラシル配合剤療法が勧められる。術前補助化学療法はエビデンスが十分ではない ものの，メタアナリシスでは生存率の改善が報 告されている。しかし，その効果は5年生存 率で5～10%程度の改善であり，周術期補助 化学療法の限界と言えるだろう。一方で,近年 分子標的薬(Tyrosine Kinase Inhibitor : TKI) や免疫チェックポイント阻害薬(ImmuneCheckpoint Inhibitor : ICI)が臨床応用され， 肺がんの標準治療の一角を形成している。手 術とこれらの新規薬物療法を組み合わせ,予後 の改善を目指した多くの臨床試験が進行中であ る。