猫の乳腺腫瘍 外科切除

摘要

猫の場合は8〇-90%が悪性であるため,筆者は根治目的 の治療の場合,大きさにかかわらず,少なくともその腫瘍が発 生している乳腺の片側全切除を推奨している。また,猫の乳腺 腫瘍に関しては犬とは違い,必ず腋窩 副腋窩リンパ節もー 括切除することを推奨する。過去の報告では術式(部分切除,全切除)による有意差がな いとされていたが吗 近年の抗がん薬を併用した例で両側全 切除,片側全切除,部分切除の順に中央生存期間が長かったと する報告もある"。両側同時の乳腺全切除は技術的には可能 ではあるが,脂肪が多く皮膚に余裕がない症例では広い範囲 を切除し縫合することになり術後の疼痛や合併症が懸念され るため,筆者の場合,片側ずつ4-6週間あけて切除すること が多い。両側切除のほうが有意に生存期間は長かったとする 論文でも,片側ずつの段階的な両側全切除(Staged bilateral mastectomy)で評価されている4’。また,片側全切除,段階的 両側全切除,同時両側全切除の順に術後合併症は増える (19.7%, 35.7%, 40,6%)"。