福島復興の現状と課題--人の復興と場所の復興

摘要

東日本大震災によって引き起こされた東京電力 福島第一原子力発電所（東電福島第一原発）の事故から7年が経過した。すでに昨年の4月までに， 帰還困難区域に指定されている地域を除くほとん どの地域で避難指示が解除された。しかし，この ことは，福島の復興が順調に進んでいることを意 味しない。それを厳しく示すのが，避難者の中で， 将来においてもふるさと（震災前の居住地）に戻 らないと決めている人が，浪江町，双葉町，大熊 町，富岡町といった東電福島第一原発に近い地域 では50%近い，あるいはそれを超える高い割合 となっていることである。復興庁の調査では，「将 来においても町に戻らない」と回答した人は,そ れぞれ49.5%. 61.1%, 63.5%, 46.8% (大熊町は 2016年度，他は2017年度）となっている（図，参考 文献[1]より筆者作成)。