B型肝炎ウィルス再活性化

摘要

B型肝炎ウィルス（HBV）再活性化をきたすHBV感染の病態にはHBs抗原が陽性であるHBVキャリア,HBs抗原陰性でHBV-DNAが陽性の潜伏HBV感染（occult HBV感染），HBs抗原陰性でHBc抗体and/orHBs抗体陽性の既往感染の3つがある.HBV再活性化とはHBVキャリア,潜伏HBV感染および既往感染者においてHBVが再増殖することである.再活性化の定義は文献によって多少の違いはあるが,HBVキャリア，潜伏HBV感染者では“ベースラインより1~2logIU/ml以上のHBV-DNAの上昇”，HBV既往感染者では“HBV-DNAの1.3logIU/ml以上の検出”と定義されていることが多い.HBV再活性化はコアプロモータの遺伝子変異やエンベロープ領域の変異などのウィルス側の要因と免疫抑制剤や抗がん剤などの使用による宿主の免疫能低下によって生じる.HBV再活性化に伴い肝炎が起こると原病の治療継続が困難になり，しばしば致死的になることがあるため,その予防が重要である.2014年に免疫抑制?化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン第4版改訂版が日本肝臓学会より公表され，HBV再活性化に伴う肝炎の発症予防の戦略が確立されつつある.本稿ではHBV再活性化の病態，リスク，予防について国内だけでなく海外のガイドラインも含め解説する.