記者の眼

摘要

昨今の半導体不足が顕在化し始めたのは2020年末だったと思うが、半年が経った今でも半導体不足は続いている。より逼迫感が増している印象すちめり、取材や決算発表のなかでも「この半導体不足がいつ解消されるのか」といった話題が多く出る▼解消時期については様々な見解が出ている。中国自動車工業協会では6月末までには緩和されるとみており、大手チイア1企業からは今夏に需給が緩んでくるといった声が聞かれるようになつた。しかし、半導体各社のコメントを調べてみると、インテルは「2～3年解消されない可能性が強い」、サムスン電子は「21年下期も続く可能性がある」、TSMCは「21年は年間を通して供給不足が続き、22年までこの状態が続く」、クアルコムは「21年末までに改善が見込める」、NVIDIAは「21年の大半は需要が供給を上回り続けると予想している」と説明会などで述べている▼こういった半導体不足を受けて、大手企業を中心に大規摸な設備投資が計画されているが、製造工程を増強しても材料が足りないと不足は解消されない。しかし、材料メーカーは増強に慎重だ。実需よりも見かけの需要が大きくなることで増強が完了したときには供給過剰となり、価格が下落するといったケースを懸念しているためだ。これまでそういったことは何度もあったが、今回もそのケースか、もしくは本物の需要拡大期の序章に過ぎないのか、願わくは後者であってほしいと思う。