司会のことば

摘要

AI時代の医療には, 標準化された臨床検査データ が不可欠である。臨床検査の標準化に向けた様々な取 り組みが行われているが, 本シンポジウムにおいて我が国で進められてきた臨床検査の標準化ならびにハーモナィゼーシヨンについて4名のエキスパートの方に ご専門の立場からご講演いただいた。本シンポジウムは日本臨床化学会との共催である。最初に, 日本臨床化学会(JSCC)理事長で浜松医科 大学臨床検査医学教授の前川真人氏に, JSCCで取り 組んでこられた「ALPとLDの活性測定法の国際標準 化」と題して講演いただいた。ALP活性測定のJSCC 法は, 国際臨床化学連合(IFCC)法と活性値が大きく 異なり, 小腸型ALPに対する感度が高く, 血液型の 影響を受けやすい。LD活性測定のJSCC法も活性値 はおおむね変わらないが, IFCC法と異なっている。 JSCCでは, ALPとLDについてJSCC法からIFCC法 への変更を視野に入れて検討を重ね, 2019年11月に 「ALP, LDの測定方法の変更に関するご案内」を学会 HPに提示し, 2020年4月1日から1年間での完全移 行を目指している。ALPとLDの活性測定法を変更す る利点は, 診断や治療の指針, 症例報告, 研究発表, 治験などで海外との相互利用が容易となることと, JSCC法と二重の測定が不要となること, ALPの血液 型の影響が少なくなること, などが挙げられる。