IgG4関連疾患の臨床検查

摘要

IgG4関連疾患(IgG4-related disease: IgG4-RD)は本 邦より発信された新しい疾患概念で, 免疫異常や血 清IgG4高値に加え, リンパ球とIgG4陽性形質細胞 の著しい浸潤と線維化によって, 同時性あるいは異時 性に全身諸臓器の腫大や結節?肥厚性病変などを認め る原因不明の疾患である。疾患概念確立のきっかけと なつた疾患が自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis: AIP)である。AIP患者で, IgGやgamma-グロブリンが増加 することは知られていたが, 2001年に信州大学の HamanoらによりAIP患者20例中19例で血清IgG4 が上昇していることが報告されたことで, IgG4定 量測定が臨床的に注目されるようになった。同年, 日 本膵臓学会から「自己免疫性膵炎診断基準」が発表さ れ, 2006年の改訂時に血清学的所見として, 高IgG4 血症（135 mg/dL以上）が追加された。2010年には血中 IgG4測定の有用性が認められ保険収載されたことで, 測定件数が飛躍的に増加した。さらに, 2011年には IgG4-RDが国際的に認知され, IgG4測定は消化器内 科以外の多くの診療科で必要となった。