分子標的治療薬

摘要

分子標的治療とは，疾患の病態に深く開与する細胞 の機能を解明し，標的遺伝子産物に特異的に作用する 薬剤を作製して治療に用いる治療法である。分子標的 治療薬は，ヒトの医療において今や特別な治療法では なく，がん治療においては他の化学療法剤と並んで選 択されるようになった。獣医療では，日本において認 可されている分子標的治療薬はないが，米国おょぴ欧 州において.犬の肥満細胞腫やアレルギー性皮膚炎お よび犬ァトピー性皮膚炎を対象とした分子標的治療薬 が承認され，臨床的有効性が報告されている。そこで 本稿においては，腫瘍に対する分子標的治療薬を中心 に，その基礎，獣医学領域における現状および臨床的 有用性について概説する。