カーボンナノチューブ集積化マイクロキャパシタを開発

摘要

産業技術総合研究所は、アルミ電解コンデンサと同等な性能(作動電圧4V、静電容量30μF、充放電速度(緩和時定数)数ms)をもちながらも体積が1/1000となる超小型のカーボンナノチューブ(CNT)集積化マイクロキャパシタを開発した。今回開発されたのは、集電体配線が載ったシリコン基板上のCNT膜をリソグラフィによって、くし型マイクロキャパシタ電極形状に微細加工する技術と、各CNT電極を直列で接続するための電極の隔離壁を構築する技術。8×10mmのシリコン基板上でこのCNTマイクロキャパシタ100個を直列に接続し、100Vでの充放電動作を実証した。水系電解質を使用した場合、CNTマイクロキャパシタ単体では1Vまでしか充放電できないが、複数を直列に接続して集積化することで小型で100Vという高電圧で動作できる。さらに4インチシリコンウエハ上に4700個のCNTマイクロキャパシタを集積化し、リソグラフィによる量産化の可能性を示した。また、このCNT集積化マイクロキャパシタは、集積度、電極デザイン、直列並列といった接続様式の設計により、作動電圧、容量、出力、充放電速度が制御できる。本キャパシタは、他のエネルギーデバイス(既存のキャパシタ、マイクロキャパシタ、アルミ電解コンデンサ、電池)と性能を比較しても、体積あすこりのパワー密度(出力)とエネルギー密度(容量)を兼ね備えており、特にアルミ電解コンデンサと比較すると、同等な出力をもちながらも体積は1/1000。用途に応じて必要なスペックを満せる自由度の高い設計が可能で、高性能エネルギーデバイスとして有望である。