柔らかく伸び縮みする半導体デバイスで最高周波数の駆動に成功

摘要

慶應義塾大学とスタンフォード大学は、柔らかく伸び縮みする半導体デバイスを、13.56MHz(非接触の交通カードでも用いられる周波数)もの高周波で動作させることに成功した。今回の研究では、伸縮性半導体デバイスで13.56MHzもの高周波数で駆動できる伸縮性ダイオードを実現した。この高周波伸縮性ダイオードは元の長さの1.5倍の長さに伸ばしても高周波動作し、繰り返しの伸長を与えても高い電気特性を維持できる。これまでの駆動周波数の記録は100Hz程度だったが、10万倍もの性能向上で飛躍的な進歩となった。今回達成された13.56MHzという周波数は、効率よく無線で電力伝送や通信を行えるため応用上非常に重要で、交通系ICカードや携帯電話の無線充電装置などにも用いられている。開発の決め手になったのは、高周波駆動用に精密にチューニングされた様々な新しい伸縮性電子材料。例えば伸縮性半導体材料では、もともとガラスのように割れやすい高分子半導体の化学構造の中に、柔らかいシリコンゴムの化学構造を少しだけ取り込むことで高い電気特性と伸縮性を実現している。他にも導電性高分子材料や、金属ナノ材料のー種である銀ナノワイヤといった電子材料も、伸縮性を付与すると同時に電気特性が高周波動作の要件を満たすように今回の研究のために新しく設計された。