転移性腎盂?尿管がんの化学療法とunmet needs

摘要

上部尿路上皮がんは腎盂がんおよび尿管がんからなり,尿路上皮がんの5-10%を占めるにす ぎない比較的稀な悪性腫瘍である.また，尿路上皮がんは,その発生部位にかかわらず,ほぼ共 通の性質を有するため,腎盂?尿管がんに対しては膀胱がんに対するのとおおむね同様の指針に基 づいた薬物療法が施行されている.したがって, 腎盂?尿管がんのみに焦点を当てた薬物療法に関する報告はほとんど認められず，高いエビデンスレベルに基づく議論を行うことは困難である. しかし,腎盂?尿管がんには，腎機能低下症例が 多いなど,薬物療法を行うに際して考慮すべき重 要な特徴もある. 以上より,本稿では膀胱がんとの比較において 腎盂?尿管がんの特徴をあらためて明らかにし，尿路上皮がんに対する一次治療を中心とした化 学療法の現況を踏まえて，腎盂?尿管がんに対する至適化学療法およびそれを実践するに際してのunmet needsを多角的に考察したい.